第19回活版印刷体験

9月19日土曜日、本日のワークショップにお越し下さったのは、編集者のKさんとTさん。
Kさんはペリカンのパン(蔵前が誇る、人気のパン屋さん。売り切れて買えないこともしばしばあるのです。レタープレスの地図にのっています。)が大好きで、工房のすぐ近くに数年前越してこられたとのこと。いいですね~(^^)

またペリカン話で始まった今日のワークショップですが、今回Kさんの挑戦される版はちょっと難しそう・・・。事前に何度かやりとりをして大きさを小さくしたり、線を少し太くしたりと色々調整したのですが、やはりなるべく納得のいく、お好きなデザインの状態で楽しんで頂きたいので、「凹みは出ないだろうけれど、なんとかきれいに刷れるかなー」というところで、挑戦して頂きました。ベタ面は少ないものの、線が細いので、通常使っている樹脂版ではなく、耐久性を考えて今回は金属版です。(樹脂だと何度も使ううちに、線がとれてしまう事があるからです。)

かっこいい。犬のイラスト。これはなるべく大きく刷りたいですよね。

そして色は混色にもチャレンジ。

シルバーに青味を足すべく、慎重に少しずつ混ぜていきます。

実際印刷した色は、混ぜている時見ている色よりも薄くなるので、刷色の確認は紙にごく少量(てん。くらい)をとって、ゴシゴシこすって、伸ばした色で見ます。

そしていざ、印刷!どうかうまくいきますように。かすれに悩まされませんように。。
慎重に印圧調整をして、少しずつ、凛々しい犬が現れてきました。

一番下では鼻と目のべた面もいい感じです(^^)
良かったぁ。

試し紙でうまく出たところで、本番用の紙6種類にそれぞれ印刷し、どの紙との相性がいいか見ていきます。

版の面積が大きいので、凸凹の紙では力が分散されてやはりうまく印刷されません。

選んだのは、少し手触りのある紙と、ツルツルテカテカの紙。途中インキを足したり、変わってくる圧を少しずつ調整し直したりしながら、とてもきれいに印刷する事が出来ました*

そして次はTさん。版はベタ面も細い線も心配のない文字の印刷です。Tさんは活版特有の凹みを出したい!との思いで、原稿もそれほど大きくはなかったのですが、事前にさらに縮小し、「これは絶対凹むよね、うんうん」と皆でうなずく万全の体制で印刷に挑みました。

Tさんも混色で、オレンジを作りました。

印刷は期待どおりとってもスムーズにいきましたが、はじめはインキが多かったようでムラができてしまい、インキを減らしていくと今度は色が薄くなってしまうので、赤を足して色味のほうで濃く調整するなどの作業をしてきました。


インキが多いためのムラ。エッジ部分が濃く、インキが溜まってしまっています。

凹みは期待以上にボコッと出ました。「おおっ!すごいねこりゃ」とみんなで感激し、できたカードの裏を見ると、くっきりと凸の跡が。

(今回はご本人のご希望、事情によりTさんの版は全体をお見せ出来ませんが、どの一部をとってもきれいな凹み、見事です~)

凹みの出る状態に、さらにTさんの力が加わり、ものすごい凹みになりました(笑)手キンの印刷機は、最後は印刷するその人の力も関わってくるので、こんな時男性はいいですよねぇ(^~^)
まるこは踏み台に乗って、レバーにタオルを巻いて、猫背になろうかというくらい力んで、汗をかいて出来るところを、そんなステップを踏まずにひょいと出来てしまうのですから(笑)

途中でKさんに「やりすぎですよ~」と笑われながら、それでも希望どおりの印刷を楽しんで頂けたようで、とっても良かったです。

Tさんは色や紙や、その他過程においてとてもこだわっていらして、模索していくには短すぎる時間ですが、少しでもものづくりの楽しい時間を過ごして頂けたのだなぁ、と嬉しくなりました。

すっかり夜になり、無事に終了しました*
KさんもTさんもお疲れさまでした~(^^)/

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