浜辺で拾った時のしずく
鉄屑に宿る宇宙の記憶
風と水に晒された艶めかしい骨
コリエ……糸で繫がれた世界の断片
【Collier】
(kɔˈlje) [仏名詞]首飾り、ネックレス、あるいは糸で繫がれた世界の断片
前川秀樹さんの展示「Collier」が、ミュージアム as it isにて昨日より開催中です。
4月23日の月曜日、
今回の展示のために制作したCarte Collierを携え、
信陽堂さんの丹治さん、井上さんとともに、
僕と浜田で設営のお手伝いに行って来ました。
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ミュージアム as it isは千葉の長生郡というところにあります。
周囲の村は手入れの行き届いた田んぼと、深く濃い緑の山並みに囲まれる美しい土地。
美術館へ向かう当日はあいにくの雨模様でしたが
いつか映画でみたような里山の姿に、車中の僕は釘付けとなりました。
到着。
ハイエースを含む3台の車両から前川さんが展示の為に用意したモノたちを運び出す間、
幸いにして雨は止み、総てを収め終えてお茶休憩をしている頃、
またポツポツと降り始めました。
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前川さんの指示に従って大量のモノたちを荷解きし、運び、
手の空いた人は必要な備品を作ります。
その間前川さんは展示を「作り」、モノは作品の顔つきに変化します。
圧巻だったのは、前川さんが吹き抜けの部屋の中央に敷いた2m四方の特厚フエルトに、
漂魄されたものたちを並べ始めたときでした。
部屋の真中にぽっかり出来た白く大きな空間に迷いなくオブジェを並べる前川さん。
ライブペインティングを見ているような、静かな興奮のひとときでした。
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この日は結局仕上げを後日に残し、細かい詰めの作業に入る前川さんと千恵さん、
そして強力な助っ人の達君を残して、信陽堂さんとともにas it isさんを後にしました。
準備の様子だけでワクワクしますね。
この世界、これでまだ準備なわけで、
完成するとすごい世界になるのではないのかなと思います。
準備完了の様子は、前川さんのブログでご紹介されています。
昨年末から今年の2月まで、毎週末のように前川さんのアトリエに通っていたのは
今回の展示に向けた「Carte Collie」の撮影の為でした。
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写真家の首藤幹夫さんが、大判4×5のカメラを使い
前川さんの世界を、時間を、じっくりと定着してゆきました。
思えばこの時もずっと今回の展示の準備の時のように静かに興奮していたなぁ。
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そうして出来上がったのが「Carte Collier」。
書籍ではありません。
合計27枚、ずっしりとした重みのあるカードのセットです。
一般的に展示の際に用意される書籍や図録は「記録」として用意されることが多いと思いますが、
この「Carte Collier」はもはや作品そのものだと思いました。
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会場でのみ販売しているポスター。
右下のタイトル「Collier」は、一枚ずつステンシルで吹き付けました。
as it is。少し遠いのですが
近くには小湊鐵道というローカル線も走る里山の姿が残る素敵なところです。
特に田植えを終えたばかりの今は、水面が山や空を鏡のように映し出し、美しいです。
旅行気分で行ってみては如何でしょう?
前川秀樹の部屋 「Collier」
会期:2012年4月27日(金)~9月23日(日)
場所:ミュージアム as it is
開館日:毎週金曜・土曜・日曜・祝日
開館時間:10:30~16:00
入館料:800円
Carte Collierについてはこちらまで。
信陽堂編集室
2012-04-28 owner お知らせ