触れて読む。陰影で読む。
バリアフリーカレンダー
駅や公共の施設などで見かける「点字」ですが、実は全盲や弱視を含め約30万人と言われる視覚障害者の中で、点字を読める人は約1割。
視覚に障害を持つ方の中で、疾病や事故など、後天的な理由によるものが8割を占め、大人になってから視力を失った方が、新たに「点字」を覚えることがいかに困難かわかります。
そうしたことから、触って読める「タクタイル(tactile/触れる・触覚の)文字」を必要としている方は多く、アメリカでは、ガイドラインでの義務づけもあり、公共施設での導入が進んでいますが、日本では、「浮き出し文字」を見る機会はあまり無いと言えます。
バリアフリーカレンダー 白地タイプ
日本生まれのタクタイル文字
画数の少ない、カタカナと数字のみで構成された「Forefinger(フォアフィンガー)」書体は、触って読みやすいことは勿論、公共の場に使う書体は、視覚にも美しいものであるべきと、山本明彦氏と「触覚文字フォアフィンガー研究会」によって開発されたフォントです。
『バリアフリーカレンダー』は、点字印刷に実績を持つ、真美堂手塚箔押所と、ミスター・ユニバース関宙明との協業による真っ白な紙面に、特殊な浮き出し加工を施された、タクタイル文字のシンプルなカレンダー。
触れて読める。そして、真っ白な紙面に落ちる影でも読むことができ、その影の変化から一日の光の移ろいを感じることもできます。
これまでにも、視覚に障害を持つ方向けのカレンダーはありましたが、黒地に白く文字を抜いた、コントラストを強調して、可読性を高めたものが多く、視力の弱い方にとっては見やすいものの、暮らしを共にする晴眼者にとっては、その存在感はやや過剰に感じられるものでもありました。
両者が共に使える、使いやすいカレンダーがあれば、一緒に過ごす時間や空間を、より気分の良いものにできるのではないか。そんな思いから、このシンプルなカレンダーが生まれました。
より高く、強い浮き出しを求めて
凸版、凹版二つの版を使う浮き出し加工は、版の精度と用紙の相性、さらには圧力の見極めが難しく、強く押し過ぎれば、破ける。皺が出来れば、滑らかな触り心地が損なわれます。より高い浮き出しを得るために、50種以上の用紙と、版、圧力の試行を繰り返し、完成へと至りました。
バリアフリーカレンダー カラータイプ

『点字のしおり』がリニューアルしました
毎年ご購入者様を対象に実施しているアンケートや当社のリサーチから新機能の追加や改良をおこない、より使いやすいカレンダーへと進化を続けています。
以前からご好評いただいている点字の基本を解説した『点字のしくみ』。2019年版までは表紙の裏面に掲載していたものを、今回冊子にまとめ付録にしました。B6サイズのコンパクトな装いで、カレンダーに載っている点字を調べてみたり、洗濯機や炊飯器など身近にある点字を探してみたりと、これまで点字に触れる機会のなかった方にも気軽に体験いただけます。
冊子『点字のしくみ』
2タイプよりお選びください
真っ白な「白地タイプ」と、繊細な色合いの「カラータイプ」があります。お部屋のコーディネートに合わせてお選びください。
バリアフリーカレンダー 白地タイプ
バリアフリーカレンダー カラータイプ
製品名:バリアフリーカレンダー
バリエーション:「白地タイプ」または「カラータイプ」
外寸:H250×W350(mm/金具含まず)
仕様:表紙含め13枚綴り/リング綴じ
価格:3,200円+税
お問合せ先
有限会社 真美堂手塚箔押所
◆電話またはFAX
TEL.03-3269-0656 FAX.03-3269-0667
◆メール
info@sinbido.co.jp
取扱い店舗
日本点字図書館・わくわく用具ショップ
169-8586 東京都新宿区高田馬場1-23-4
03-3209-0751(用具事業課)
営業時間:9時〜16時
日曜・月曜定休
日本点字図書館・わくわく用具ショップ
MINA-TO(SPIRAL 2F)
107-0062 東京都港区南青山5-6-23
03-3498-4015
営業時間:11時〜20時、不定休
MINA-TO(SPIRAL 1F)
アノニマスタジオさんが発行する書籍刊行案内『アノニマだより』の32号が出来上がりました。
毎号違うイラストレーターさんに装画をお願いしており、今回は出口えりさんに「冬」をテーマに描いていただきました。
いただいた原画は大変むずかしい原稿でしたが、仕上がりは出口さんにも「イメージのとおり」とご満足いただけ心からホッとしています。
制作裏話をすこししようかと思います。
素晴らしい原稿をいただいて嬉しい反面、私は頭を抱えてしまいました。
アノニマだよりは2色印刷なのです。
フルカラー4色であれば難なくできるものも、2色という色数では限界があります。
しかも用紙は濃度・彩度ともに難しい中質紙(わら半紙のような紙)です。
毎号のトライアルは楽しいのですが、今回の原稿は、むむむ難しい……。
メインとなっているグリーンは1色に見えますが、濃い部分のグリーンを刷り色に使っても中間〜ライト部にある彩度の高いグリーンは再現できません。
濃度も必要ですが、同時に彩度も欲しい。さてどうしたものやら……。
上部のグラデーションスケールが、高濃度部の色によるグラデーション。中間部からライトは原画の中間調にあるきれいなグリーンにはならず、グレートーンとなる。(画面は原画画像)
原稿を見て気づいたことがありました。原画にある2色の構成はほぼ補色の関係にあります。
この関係であれば、掛け合わせることで高濃度部を補い、且つ、隣り合わせた際には目の錯覚で彩度を感じやすくできるのではないか。
試しに原稿からCMYK分解をしてみますと、C版をメインのグリーンに。M版を差し色の赤として使いながら高濃度を補うという設計が良さそうです。
初校の分色版(上)と掛け合わせシミュレーション(下)(色はそれぞれDICに変換)
画面だけでなくプリンターでもシミュレーションを重ねます。ですがシミュレーションはあくまでもシミュレーションです。レーザープリンターはトナーの特性もあり、実際の印刷よりは彩度も濃度も出てしまうため、印刷に使用する2色はシミュレーションよりも彩度のある色を選びました。そうすることで納得のいく濃度に達するのか不安は残りますが、できることはやったつもりで初校を待ちました。
初校。濃度は出ましたが彩度が出ません。両版のライト〜中間域を明るくして再校。まだ全体がくすみ、彩度がまったく出ません。さあ後がありません。画面とプリンターによるシミュレーションは、これ以上手を加えると根本的に違う絵柄になるような状態になっていました。しかし、シミュレーションと本番の差異から見当をつけ、赤い版のライト部から中間部をさらにさらに軽くし、且つ緑のインキを若干明るいものに変更して、本番に臨みました。
分色の最終版。初校との違いがわかるでしょうか。
初校(左)と刷り上がり(右)。ロットの違いか、紙色も若干違いがあります。
左が初校、右が刷り上がりです。初校がどれほどくすんでいたかおわかりになると思います。
もちろん原画を横に置いて見比べると違うものではありますが、この媒体は紙白もくすんだ中質紙であり、使える色は2色のみです。
印刷物としての印象が、原稿の〈印象〉を再現、あるいは上回るような仕上がりを目指しました。
印刷はそもそも〈再現〉を求められるものですが、原稿と印刷物は別物として捉え、しかし印刷物としての「良さ」を見定め、そこに焦点を合わせて設計をすることで、印刷物としての〈面白み〉を得ることも印刷ならではの醍醐味です。そこでは定着されるメディアや材料が違う以上、全く同じものは存在できないという考えを持つことが大切です。
これは2色印刷という特殊な事情だけでなく、フルカラーの印刷でも同じことだと考えています。
原稿の良さを「印象」として捉え、定着するメディアを検討し(今回は予め決まっているわけですが)、印刷物としての濃度、階調の限界を予め理解しておくことで、印刷物に置き換えたときのベストな印刷設計が可能となります。
フルカラーでなく、用紙も印刷的に不利。そんな印刷物がうまく仕上がったときにはとてつもなく愛おしさを感じます。
そこで感じた愛おしさは、制作に携わったものだけの喜びにとどまらず、きっと手にとってくださった方にも伝わるはず。
そんな思いを持って毎回制作しているのが『アノニマだより』なのです。
©イラストレーション:出口えり

永井荷風と鷗外 ポスター
永井荷風と鷗外 フライヤー表
永井荷風と鷗外 フライヤー裏

永井荷風と鷗外 図録





◎造本仕様
・A4版並製
・表紙:ブンペル
・本文用紙:b7バルキー
永井荷風と鷗外
荷風生誕140年・没後60年記念
森鴎外記念館
Art Direction : 関宙明 / Hiroaki Seki
Design : 関宙明 / Hiroaki Seki
Publisher : 森鴎外記念館 / Mori Ogai Memorial Museum





◎造本仕様
・四六版変形、上製、グラシン装
・表紙:アラベール
・別丁扉 : アラベール
・見返し:タント
・本文用紙:オペラクリアマックス
はるかカーテンコールまで
笠木拓
港の人刊
Art Direction : 関宙明 / Hiroaki Seki
Design : 関宙明 / Hiroaki Seki
Publisher : 港の人 / minatono-hito



◎造本仕様
・四六版変形、上製、カバー装
・カバー:ユーライト+マットPP
・表紙:アラベール
・見返し:タント
・本文用紙:メヌエットフォルテ
エリザベス・ビショップ 悲しみと理性
コルム・トビーン著 伊藤範子訳
港の人刊
Art Direction : 関宙明 / Hiroaki Seki
Design : 関宙明 / Hiroaki Seki
Publisher : 港の人 / minatono-hito


◎造本仕様
・A5判並製、カバー装
・カバー:OKトリニティ+グロスPP
・表紙:大和板紙
・見返し:キャピタルラップ
・本文用紙:b7トラネクスト
日々のものさし100 後藤由紀子
Photograph : 岩崎美里 / Misato Iwasaki
Edit : 矢澤純子 / Junko Yazawa
Printeing direction : 丹下善尚 (図書印刷)/ Yosihisa Tange
Printed and bound : 図書印刷 / Tosho Printing Co.,Ltd.
Art Direction : 関宙明 / Hiroaki Seki
Design : 関宙明 / Hiroaki Seki
Publisher : パイインターナショナル / PIE international.

イーストトーキョウ
イベントフライヤーデザイン
Creative Direction : 関宙明 Hiroaki Seki
Art Direction / Design : 関宙明 Hiroaki Seki
CLIENT : うめだスーク




Your Voice mama!milk
CD Jacket design
Creative Direction : 関宙明 Hiroaki Seki
Art Direction / Design : 関宙明 Hiroaki Seki
CLIENT : mama!milk

東京大学グローバルサイエンスキャンパス
webサイトデザイン
Creative Direction : 関宙明 Hiroaki Seki
Art Direction / Design : 関宙明 Hiroaki Seki
Logo Design : 栗原幸治 Koji Kurihara / クリラボ
Coding : トランスプロジェクト Trance Project
CLIENT : 東京大学生産技術研究所次世代育成オフイス UTokyo ONG













◎造本仕様
・B5判並製、カバー装
・カバー:ミセスbスノーホワイト+グロスニス
・表紙:大和板紙
・見返し:キャピタルラップ
・本文用紙:b7トラネクスト
Pande Nomine 前川秀樹作品集
Photograph : 前川秀樹・関宙明 / Hideki Maekawa and Hiroaki Seki
Printing Direction : 浦有輝 Yuuki Ura(アイワード iWORD)
Printed and bound : アイワード iWORD
Art Direction : 関宙明 / Hiroaki Seki
Design : 関宙明 / Hiroaki Seki
Publisher : ギャラリーたむら / Gallery Tamura.