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東京バス散歩
白井いち恵 著
京阪神エルマガジン社 刊
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バスへの愛がこもった本ができました。
路線バスに乗って「地続きの東京」を楽しみませんか?
という新しい視点のガイドブックです。
乗車体感エッセイと共にバス路線周辺の地図と
立ち寄りスポットなどが掲載されています。
乗車体感エッセイとはなんぞや?
と思う方もいらっしゃるかと思いますが、その名の通り。
読んでいると自分もバスに乗って、車窓の風景を楽しんでいる気分になります。
著者の白井いち恵さんのエッセイはなんとも旅情をかきたてる文章で、
そこにある「バス」に対する郷愁というか、
ある種の「切なさ」の感覚はこの本のデザインにも大きく影響しました。
今回の本はガイドブック。
ガイドブックといえば実用品でもありますので、設計がとても大切です。
鞄に入れて持ち歩きやすく、狭いバスの座席でも邪魔にならないこと。
そして何より軽いこと。見開きの地図があるから本の開きがいい方がいい。
などなど。
そうして仕上がった本は軽くてしなやかで柔らかい、地図も見やすい、
とても気持ちのいいものとなりました。
下の写真ではカバーを外していますが、カバーに使用した紙も柔らかいもの
(だけど丈夫)を選びましたので、カバーをかけていても同じように
しなやかに動きます。
カバーと章扉の写真は、写真家の松本のりこさんに撮っていただきました。
松本さんは「民藝の教科書 うつわ」でもご一緒しています。
今回の撮影は桜の開花時期が近かったため、桜もはいっているとうれしいのですが…
という面倒なお願いをしてしまったのですが、天気予報とにらめっこしながら、
遊びごごろいっぱいのノスタルジックな写真で応えていただきました。
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そしてこの本の楽しさを演出してくれているのが、バス路線周辺の地図です。
地図はイラストレーターの溝川なつ美さんに描いていただきました。
溝川さんといえば、文房具店カキモリさんの散策マップでもおなじみです。
今回も独特のイラストでその街の雰囲気を伝える地図へと仕上げていただきました。
(かなりの密度で描きこんで下さったので、途中で熱が出てしまうということも…。)
この本のお話をいただいたとき著者の白井さんから、
ご自身で作成されたバスや街についてのたくさんの資料を拝見させていただきました。
その中で最も白井さんのバスへの情熱をかんじたものが下の写真…。
1路線分の地図です。
マーカーで色分けされた道と、たくさんの付箋。
その付箋には小さな文字で地域の情報やメモが細かく書かれています。
今回の本を書くために白井さんが資料としてご自身でつくられたもので
同様のものを10路線分作られたとの事。
その圧倒的な密度に私達はたいへん驚かされました。
本としてはふわっと軽く、マニアック過ぎない印象となるように
デザインをしましたが、背景にあるこれだけの密度と熱をどうしても伝えたくて
カバーを外すとこの地図が出てくる様、表紙に印刷しました。
仮面の下の素顔といった趣です。
お手にとっていただいた際は是非カバーを外して表紙を見て下さい。
今回の本は制作スタッフが別々に作業しながらも、
「バスって楽しい!」という思いを共有しながら楽しく進めることができました。
書店でお見かけする事がございましたらお手にとって是非ご覧ください。
宜しくお願い致します。
東京バス散歩 京阪神エルマガジン社刊
並製/A5判正寸/136頁
著者:白井いち恵
編集:稲盛有紀子(京阪神エルマガジン社)
写真(表紙・各章扉):松本のりこ
イラスト・MAP:溝川なつ美
プリンティングディレクター:丹下善尚(図書印刷株式会社)
進行:濱田真理子(図書印刷株式会社)
アートディレクション・デザイン:関宙明
私もこの本片手に東京バス散歩してみようと思います。
(ハマダ)
2012-06-05 owner できたもの