もう1件は、吉祥寺の花店“gente”さん。こちらは9月半ばのリニューアル公開となりました。
こちらも元は2007年小社制作のもので、フラッシュを使ったトップページでは、うさぎが飛び跳ねるアニメーションをつけるなど、遊び心に富んだものでしたが、随分前からフラッシュはセキュリティの脆弱性などがあり、現在ではデフォルトで対応するブラウザもほとんど無くなりました。
上は旧サイトのデザイン。
今回のリニューアルでは、写真をふんだんに使えるようにすることを中心に、フレームを古いMovableTypeから最新のWordPressへ変更し、モバイル閲覧への対応を基本に、簡便でシンプルに更新可能な構造へと改訂しました。
アイコンに使用しているイラストは、イラストレーターの溝川なつ美さんにお願いしています。現在雑誌や書籍などの装画で活躍している溝川さんも、2007年当時はミスター・ユニバースでデザイナーとして働いており、当時制作のwebサイトのデザインも、溝川さんによる、可愛いイラスト満載のものでした。今回のリニューアルでも、genteの店主である並木容子さんから「できるだけ残して欲しい」というリクエストをいただいたこともあり、今の形となりました。
可憐にして瀟洒。genteさんの花を形容すればこのような言葉になるでしょうか。そして何よりピンと元気です。お店には花の生命力が満ち溢れています。吉祥寺へ訪れた際には、是非お立ち寄りください。
最近はwebのご相談も随分と多くなってきました。自分でもスマートフォンを使いますし、この辺の変化は当然のことでしょう。また、通信環境の技術向上から、SNSなどの流れもあり、写真はより大きく、そして動画を使うことも当たり前、一層ビジュアルへの要求の高まりを感じます。
ミスター・ユニバースは、紙媒体のデザイン事務所と捉えている方も少なくないと思いますが、webでの表現に於いても、紙媒体で培ったコミュニケーションの手法や技術を活かすことで、より共感を生む媒体づくりが可能ではないかと考えています。これから、ビジュアルでの表現が要となっていきますが、根本には、しっかりとした企画と、それを実現するクオリティの高い技術が必須であることに時代の変化はありません。送り手と受け手を結ぶメッセージづくりを中心としたコミュニケーションを大切にしながら、これからも、沢山の皆さんのお手伝いをしてゆきたいと願っています。
ハッピーデイズ 装幀
18歳で人生のすべての要素は体験したと、貯金を解約し墓地と墓石を購入したアントワーヌは、35歳になって、老人養護施設「ハッピーデイズ」に入居する。
施設での日々、末期がん患者ミレイユとの出会い、死を前にして日々を生きる老人たちとの生活の中に、感じたことのない感情を見出してゆく。
原稿を読見始めてすぐに、頭のなかに一枚の写真が思い浮かびました。英国の写真家マーティン・パーによる“prefabs”(プレハブ)シリーズの一枚です。
きっと、あの写真がとても合うことだろうと思い、エージェンシーに連絡したところ、権利に難ありとの連絡。別案の検討を促されました。なんとかならないかと掛け合ってもらいましたが、なかなか返事が来ません。仕方無く権利がクリアされている別の写真を前に頭を捻りますが、どうにもしっくりきません。いっその事、根本からアイディアを練り直そうとしていた矢先、OKの連絡。なんとか間に合いました。
写真に響き合うように、写真の周囲に有機的な調子を付けた極細罫線を敷いています。ぱっと見色面に見せかけることで、だまし絵のような奥行きを作ました。これは、一筋縄ではいかない登場人物たちの感情の機微を感じてもらいたいと思って行った工夫です。
gente
2016年 web site renewal
Photograph : 吉田タイスケ Taisuke Yoshida
Illustration : 溝川なつ美 Natsumi Mizokawa
Creative Direction / Art Direction / Design : 関宙明 Hiroaki Seki
CLIENT:gente
La Collina vol.08 葭の仕事
たねやグループPR誌
Photographs : 川内倫子 Rinko Kawauchi / 新居明子 Akiko Arai / 松本のりこ Noriko Matsumoto / 大沼ショージ Shoji Onuma
Text : 渡辺尚子 Naoko Watanabe / 千葉望 Nozomi Chiba
Ilustration : 波多野光 Hikaru Hatano / 阿部伸二 Shinji Abe
styling(表4): 四分一亜紀 Aki Shibuichi
Creative Direction : 丹治史彦 Fumihiko Tanji(信陽堂編集室 shinyodo edit brico)
Edit : 信陽堂編集室 shinyodo edit brico
Printing Direction : 浦有輝 Yuuki Ura(アイワード iWORD)
Printed and bound : アイワード iWORD
Art Direction / Design : 関宙明 Hiroaki Seki
CLIENT : たねやグループ Taneya Group