学生さんからベテランの看護師さんまで、看護の現場の人々によるエッセイを集め、それら実践や経験に編者による講評で意味付けをしながら「看護という仕事が人に与える喜び」を抽出する試みです。
看護師さんたちによるエッセイでは人の命を扱う責任やその重さ、そしてそのストレスや疑問、だからこそ得られる喜びなどが描かれています。各人は文章のプロではありませんが、現場のプロとしての思いは、圧倒的なリアリティを持って読者の胸に突き刺さって来ます。主には看護師さんへ向けられた本書ではありますが、どのような仕事に就かれた方にとっても、目の前の仕事に疑問が湧いてしまった時、仕事をはじめた頃に抱いた希望や、人の役に立った時の嬉しさなど現在の自身の立場や、積み上げられた経験から客観的に見つめなおすことでそこに刻まれた自分と仕事の関係を見つめ、意味を再発見する前向きなヒントとなるのではないかと思いました。
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装幀では、目の前だけを見つめていたのでは得られない、その先にあるはずの「希望」が感じられるような広がりのある装画を描きました。
テーマとしては地味ですが、多くの方に読んでいただきたい良書だと心から思います。それだけに着々と版を重ねているという事実がとても嬉しいです。機会がありましたら是非お手にとってみてください。きっと元気が出ますよ。
「その先の看護を変える気づき」 学びつづけるナースたち
編集:柳田邦男・陣田泰子・佐藤紀子
医学書院 刊
装幀・装画:関宙明
2013-02-09 owner できたもの