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大阪は北堀江にある
東欧雑貨のお店チャルカさんは
紙や印刷物の蒐集に力を入れてます。
パリパリ、ざらざら、ごわごわ、
少し日に灼けたような風合いのある紙を
「味のある紙」=「アジ紙」と名付け
それらを東欧で仕入れては
文具などに加工してお店で販売されてます。
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こういう紙もの、捨てられないですよね。
よくあるコレクション本にはしたくなかったので
この旅行中に集めた紙ものたちを紹介する章では
全ての印刷物を原寸で掲載することにこだわりました。
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はみ出しちゃっていいんです。
これは紙のデザインを見せる本ではなくて
チャルカさんの見てるものを
追体験する本なのだから。
本という型枠で
チャルカさんが見ているものを切り抜いた
そんな本にしたかったんです。
だから、原寸。
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この本の柱はチャルカさんのアジ紙への
熱い思いであることは言わずもがなですが
東泰秀さんの写真の美しさが
本に深い奥行きを与えています。
けれども紙はまたザラザラの紙。
写真表現にはおよそ向かない紙です。
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写真の質感を大切にするために
テスト入稿をしました。
その結果をふまえ入稿用には、
印刷でつぶれてしまう階調を考慮して
調整をしたプリントを焼いて頂きました。
なので目指すべき目標値は頭の中。
この紙で、この調子だからこのくらい。
川柳にもならない言葉を口にしながら
製版入稿をしたことを覚えています。
東さん、そして凸版さんの努力の甲斐あって
そのもくろみは旨く成就したように思います。
写真、美しいです。
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後半は色数が少なくなります。
大阪下町の取引のある工場へチャルカさんたちが
取材に行って綴られた章。
工場のおじさんおばさんたちを
イラストレーターの溝川なつ美さんに
描いて貰いました。
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なんともアジのあるおばちゃん…。
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最後の2折り/36頁は、春日製紙さんによる
ざらざらのコミック用紙です。
色数は1色になりました。
なんと初版限定仕様です!
1折り目は緑色の紙。
凸版さんに写真の分解入稿をするときに
「高度経済成長を支える日本の中小企業!」
そんな感じで製版をお願いします。
とお願いしました。
だけど
刷り色は藍です。
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最後の章は語り始めると
尽きない工夫や思いがあるので
あとはご自身で書店でお確かめください。
まだまだ色々やってます。
それで「やっとるなー」と思ってくだされば
冥利に尽きます。
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気づかれないのかあまり話題にされないけれど
帯の下にもちょっとしたイタズラが…。
そんな本作りに携わらせてもらって
著者のチャルカさん、
版元のアノニマ・スタジオさんに
深く感謝しています。
7月11日からは
出版記念のイベントがアノニマ・スタジオの
ガレージにて行われます。
初日は著者さんや僕らも参加して
お祭りをやりますのでお時間ございます方は
是非ご参加ください。
アジ紙エキスポ2009
2009-07-01 owner できたもの