明けましておめでとうございます。
本年もどうぞよろしくお願い致します。
「恭賀新春」年賀状に寄せて
グーテンベルグのはるか昔より、「紙」に束ねられ、「本」として質量を得た「ことば」は、人々の手に育まれ、常に人々のそばにありました。人の思考の拡がりは技術の進化を伴い、紙の用法に於いても百花繚乱の多様性を極めたものでしたが、近年、デジタルという新しいメディアを仲間に迎え入れると、「コスト」という名の秤に載せられ、その多様性を収斂することになってしまいました。なんという不幸。
「ことば」と紙が出会う時、言葉の持つ意味以上の拡がりや奥行きを得ることがあります。デザインはそれらを更に拡げ深める道具です。
紙の質感だけでなく、印刷の技法も「ことば」が持つボキャブラリーであり、(理由はどうであれ)デザイン自らがその多様性を否定することは、人の感受性をなかったことにすることと等しいと思っています。
「ことば」に、質量を。
デジタルもアナログも敵対することなく、表現における多様性として穏やかに共存し、人々の豊かさに貢献する技術たれ。
年賀状ではあるけれど、これはデザインに携わる一人の人間として、変わりゆく時代への願いであり、ささやかなレジスタンスでもあります。
本年もどうぞよろしくお願い致します。
ミスター・ユニバース 関 宙明
◎おしらせ
今年も小川町竹尾見本帖本店にて、「クリエイター100人からの年賀状」展が行われます。
各人が趣向を凝らした新年のメッセージが一同に介する新春恒例の展覧会も、12回目を数えます。平日のみの開催ですが、会期中お近くにお出向きの際は、どうぞお立ち寄りください。
「クリエイター100人からの年賀状」展 vol.12
2017年1月20日(金) 〜 2月24日(金)/土日祝=休
10時〜19時 ※1月27日は17時まで
2017-01-14 master お知らせ