滋賀県近江八幡に本店を構える「たねや」、「クラブハリエ」の全店舗にて配布されるフリーの冊子「La Collina」(ラ・コリーナ)のアートディレクションとデザインを担当させていただきました。巻頭特集は川内倫子さんの写真による「春を迎える近江八幡の火祭り」。3月の「左義長まつり」と、4月の「八幡まつり」という二つの火祭りを取材しました。どちらの祭りもその最高潮に達するのは境内の馬場一面が日に包まれる「奉火」。馬場の脇に植えられた木々だけでなく、山門まで炎に包まれんばかりのその迫力は、その場に居る人々に、畏れ、そして敬うべき大きな力の存在を眼前に出現させます。熱狂と興奮がやがて祈りとなって空へ吸い込まれてゆくさま、その宇宙的な広がりを川内さんが写真に収めました。萌えあがる春の近江の息吹を体験してください。
その他の取材では「たねや永源寺農園」のよもぎ畑を訪ね、写真家の大沼ショージさんとライターの千葉望さんが朗らかな農園の人々を活写しています。さらには千葉望さん、イラストレーターの波多野光さんによる近江の豊かな風土を描く連載「みちくさにならう」や、滋賀出身の川内倫子さんによる故郷を見つめる写真と文章による連載「近江のひかり」も見どころです。私たちが取材中に見た近江の人々の暮らしには、世代のつながりと地域を紡いでゆくさまざまな工夫がありました。その自然で奥ゆかしい近江の人々の姿に、望むと望まざるに拘わらず経済至上主義の世を過ごしてきた日本人としての反省と、沢山の学ぶべきことを感じました。本誌を通して沢山の人が私たちの出逢った近江に親しみを感じ、やがて訪ねてくださったら幸いです。
訪れる度に発見と気付きを与えてくれる近江への旅はこれからも続きます。今号を手に取り近江に親しみを感じてくださったらまた次号もお楽しみになさってください。
「La Collina」は年二回配本。創刊号となる今号は、全国各地の「たねや」ならびに「クラブハリエ」店頭で本日より配布されます。部数には限りがありますのでどうぞお早めにお近くの店舗をお尋ねください。
たねや:店舗のご案内
La Collina写真:川内倫子・大沼ショージ
文章:千葉望
イラスト:波多野光
クリエイティブ・ディレクション:丹治史彦
編集:丹治史彦・井上美佳(信陽堂編集室)
アートディレクション・デザイン:関宙明
2013-02-16 owner できたもの