本のはなし③ ハッピーデイズ

本のはなし③
ハッピーデイズ

ハッピーデイズ ローラン・グラフ著 装幀

ハッピーデイズ 装幀


ハッピーデイズ
ローラン・グラフ 著 工藤妙子 訳
2008年 角川書店

story

18歳で人生のすべての要素は体験したと、貯金を解約し墓地と墓石を購入したアントワーヌは、35歳になって、老人養護施設「ハッピーデイズ」に入居する。
施設での日々、末期がん患者ミレイユとの出会い、死を前にして日々を生きる老人たちとの生活の中に、感じたことのない感情を見出してゆく。

デザインについて

原稿を読見始めてすぐに、頭のなかに一枚の写真が思い浮かびました。英国の写真家マーティン・パーによる“prefabs”(プレハブ)シリーズの一枚です。
きっと、あの写真がとても合うことだろうと思い、エージェンシーに連絡したところ、権利に難ありとの連絡。別案の検討を促されました。なんとかならないかと掛け合ってもらいましたが、なかなか返事が来ません。仕方無く権利がクリアされている別の写真を前に頭を捻りますが、どうにもしっくりきません。いっその事、根本からアイディアを練り直そうとしていた矢先、OKの連絡。なんとか間に合いました。
写真に響き合うように、写真の周囲に有機的な調子を付けた極細罫線を敷いています。ぱっと見色面に見せかけることで、だまし絵のような奥行きを作ました。これは、一筋縄ではいかない登場人物たちの感情の機微を感じてもらいたいと思って行った工夫です。

デザイン詳細

ページトップへ戻る

ページトップへ戻る


(c) mr.universe all rights reserved