Zuhre、
増刷出来上がりました。
 
 
 
 
初版在庫切れでお待たせをしておりました
彫刻家前川秀樹さんの物語集「Zuhre」の増刷分が
先週仕上りました。
 
 
  
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茨城県土浦市にある前川秀樹さんのアトリエには、
縁あってさまざまな材が運ばれてきます。
池の畔に立っていた椎の木、
弁天さまの祠に寄り添っていた公孫樹、
竜巻で根元から千切られた欅、
長く人の口をよろこばせてきた栗の木など。
時に捻れ、割れ、虫に喰われたあとも生々しく彫刻の材としては
けっして扱いやすくないそれらの雑木から、
前川さんは二百体以上の像を彫りだしてきました。
それらは人と動物との境を飛び越え、風や雨、
火や水に姿を与えた神話の時間が流れる造形……
前川秀樹が5年ほど前から追いかけてきた「像刻」と呼ばれる木彫群です。

   *

前川さんが作る像刻には、
これまでも特徴的な作品名が与えられてきました。
「ソニドリ」「告げ鳥」「雪客(せっかく)」
「白南風(しろたえ)」「笑う山稜」「雨師」
「ふねのないみなと」「横たわる月」「海天の塔」
「歌われなかった鎮魂歌」……
特徴的な像刻の姿とその作品名が響きあい、
小さな像刻はその背後に広がる豊かな物語性を予感させました。

そして、
それらの像刻たちが
自らの裡に秘めた物語をしずかに語りはじめました。

この物語集「Zuhre」は、
木々が
鳥や風に聞いた、
水や土から引き取った物語を、
前川さん自身が言葉によって削り出した、
文章による初めての作品集です。
 
信陽堂webサイトより
 
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ざらっとした中質紙の本文用紙に赤いかがり糸。
 
  
  

 

 

 
 
今回書き下ろされた5編の物語それぞれを
その世界に合う書体、組版で組み上げました。
 
上から、「イーカロスの話」、「ソニドリの話」、「幽霊鳥の話」……。
   
  

  
各話に綴じられる
前川さんのエッチングが
想像の世界を広げます。
上は「イーカロスの話」より。
 
 

 

 

  
そして、各物語を象徴する像刻たち。
ピンホールカメラで撮影された写真を
各違う組み合わせの2色印刷で刷り上げています。
  
  

  
  

 
空押し、箔押しを組み合わせた表紙。
背を付けず、寒冷紗をそのまま見せました。

   
  
        
この本を作る際、著者の前川さん、信陽堂さんと話し合ったのは、
「本らしい本を作りたいね。」ということでした。
重みがあって、手触りがあり、物体として存在感がある。
読んでいる時の状況ごとその人の記憶にのこるような、そんな本です。
   
そう考えた時に、通常の取次を経て書店に並べるというルートを
選択することでクリアしなければならない幾つかのルールが、
少し窮屈に感じました。
全てにおいて手をかけ、極力その熱を冷まさないようにして
私たちが考える「本らしい本」を、読者の方に届けたい。
 
ですので通常の書籍のように
取次を通して書店さんに並べてもらうということをせず、
前川さんの個展会場の他、直販や、ご注文をいただきました書店さんへ
版元より直接納めての販売という方法をとりました。
 
皆さんにはご不便をおかけしますが、
どうぞご了承ください。
 

 
忌まわしいバーコードの呪縛(そんなこと云うもんじゃないですね)からも
解放されました。
 
 
尚、現在は信陽堂さんによる直販のほか、
リブロ池袋本店さん
古書ほうろうさん
茶房 高円寺書林さん
SyuRoさん
でお取り扱い頂いています。(有難うございます) 
(各店在庫少数のため、ご来店の際は在庫をご確認ください)
 
また、書店さんに限らず、お取り扱いくださるお店を募集しています。
  
詳しくは信陽堂さんまでお問い合わせください。
 
 

 

 
こちらは、初版予約限定300部の特典付き特別パッケージ版。
予約特典として前川さんの手によるエッチングが一葉付いていました。
   
包み紙も、封筒も、皆で手作りしました。
   
製本は勿論製本所さんにお願いしていますが、
機械を使えない加工が多く、文字通り手のかかった本です。
 
 
夏休み、物語の世界に浸ってみては如何でしょう?
    
  

「Zuhre」(ズフラ) 前川秀樹 著 信陽堂編集室 刊
文章・像刻・エッチング:前川秀樹
編集:信陽堂編集室
印刷管理:藤井崇宏(凸版印刷)
装幀・造本・撮影:関宙明
 
【zuhre】金星を意味する言葉。
中央アジアから東ヨーロッパまで
広く女性の名前としても親しまれている。

 
☆好評既刊

 

 

 

 

 

 

「VOMER」(ヴォメル) 前川秀樹 像刻作品集 2010年1月 ラトルズ 刊
像刻・文章:前川秀樹
写真:首藤幹夫
編集:渡辺尚子
印刷・製本:ルナテック
アートディレクション:関宙明
デザイン:関宙明・松村有理子
 
前川秀樹さんの像刻の世界を綴じた大判の作品集です。
写真家・首藤幹夫さんが、美しく、生々しく、鮮やかに
前川さんの作品世界を収めました。
巻末に作品のライナーノートとして書き下ろされた文章、
各作品を解説する短い文章ですが、
それぞれが物語を孕んだ素晴らしいもので、
「Zuhre」のはじまりともいえる世界がここにあります。
 
  
   
こちらも、造本、印刷にこだわった仕上りです。
ビジュアルで、物語で、
前川秀樹さんの作品世界に浸ってください。
 
こちらはアマゾン他、全国書店さんで入手可能です。

 
 
 

 

 

 
 
 

 
気がつけばあっという間に8月。
 
9月になってしまう前に(!)、
7月に仕上がったものをご紹介いたします。
 


 
「アノニマ・スタジオの本」(2011年度版)
イラスト:高寄尚子
アートディレクション:関宙明
デザイン:松村有理子
   
  
アノニマ・スタジオさんの総目録です。
毎回違うイラストレーターさんに
アノニマ・スタジオさんの灯台を描いて頂いています。
 

 
今回のイラストは、高寄尚子さん。
 
広がりのある風景を仕上げてくださいました。
表紙と裏表紙は、たぶん、違う国。
けれども水平線でつながっています。
 

 
表紙を開けると、灯台から見下ろした港町が広がっています。
 
「アノニマ・スタジオの本」は、全国の書店で配布しています。
もしお近くの書店にない場合は、
アノニマ・スタジオさんから直接送っていただけるようですよ。
詳しくはこちらから、
「本のご案内」のページを御覧ください。
 
 
 
 
次は、こちら。
  

 
じゃん。
元気な本が出来ました!
 
「のっけごはん100」 瀬尾幸子 著 主婦と生活社 刊
写真:木村拓
スタイリング:大畑純子
プリンティングディレクター:都甲美博
アートディレクション:関宙明
デザイン:関宙明・松村有理子
 
 
「おつまみ横丁」でお馴染みの料理研究家、瀬尾幸子さんの
簡単でボリュームたっぷりのレシピ集です。
 
撮影では始終笑いの絶えない
明るい現場でした。
元気な瀬尾さんに負けない元気なデザインを目指しました。
 
 
 

 
扉です。
背景の絵は、銭湯のペンキ絵の職人さんによる
三保の松原で、瀬尾さん所有(!)のもの。
もっと引くと富士山が見えるのですが、
主役は料理ということで。
 
  

 
料理名の筆文字は瀬尾さんによるもので、
定食屋の女将さんになりきって書いて頂きました。
  

 
味のあるいい字ですよね。
字だけで美味しそうです。
 
 

 
勢い余って表紙を関が描きました。
ちょっと悪乗り気味です。
 
  

 
カバー袖では「鍋での美味しいごはんの炊き方」をご紹介。
いちばん基本的な事が、ページを探さなくてもいいところに書いてあります。
編集さんのアイディア。こういうの、好きです。
  
  

 
裏表紙には「たいへんよくたべました」のハンコ。
 
遊び心ぎっしり、
レシピたっぷり(なんと100点)。
これが880円だと云うのですから
驚いてしまいます。
 
 
お近くの書店や、コンビニなどでどうぞ。
  
  
 
次は、少し夏らしい? 本を。
 
 

  
「心霊づきあい」 加門七海 著 MF文庫・ダ・ヴィンチ メディアファクトリー 刊
装幀:関宙明
  
作家、加門七海さんによる、「視えない」世界が「視える」人たち11人との対談集、
2008年に出版され、好評を博した「心霊づきあい」の文庫版です。
  
怖い? 怖くありません。
心霊とのお付き合いも人と同じ。
必要以上にこちらが怖がれば、向こうも仕掛けてくる(?)し、
向こうも怖がらせる為だけに居るわけではないようです。
ここに登場する皆さんの「心霊づきあい」の作法にはおおらかさを感じます。
  
その「おおらかさ」、落語みたいだな、と思い、
装画のイメージは落語「野ざらし」に求めました。
 
長屋に住む浪人が美人の幽霊と差しつ差されつ…、
そんな話にあやかりたい八五郎が
自分も幽霊を探しにゆくというお話し。
本とは関係ありませんが、そんなおおらかな付き合い方が
ちょっと似ているかな、と思いました。  
    
暑い夏の夜に、少しだけひんやりする? 愉しい対談集です。
  
  
  
  

 

 
 
「その先の看護を変える気づき」 学びつづけるナースたち
編集:柳田邦男・陣田泰子・佐藤紀子 医学書院 刊
装幀:関宙明
 
看護学生さんから、ベテランの看護師さんまで、
看護現場の人々によるエッセイを集め、
編者がそれぞれの看護実践に意味付けをしながら
核となる「人への思い」を抽出しています。
 
看護師さん向けに書かれた本書ではありますが、
仕事を通して人と関わる意味と意義は、どのような仕事に於いても共通性があり、
自分の仕事に疑問が湧いてしまった時に、
その仕事をはじめた頃に抱いた喜びを思い起こし
また違う確度から見つめる為の示唆を与えてくれる
そんな本だと思いました。
 
装幀では、手元だけを見つめていたのでは得られない、
「気づき」の先にあるはずの「希望」を感じさせる、広がりのある装画を
用意しました。
 
看護師さんだけでなく、
多くの方の読んでいただきたい良書です。
 
 
 

最後です。
  
  

「義の絆」孫文と宮崎滔天 松本州弘 著 朝日新聞出版 刊 
装幀:関宙明
 


 
 
辛亥革命を起こし、中国革命の父と呼ばれた孫文と、
その孫文を支えた日本人革命家、宮崎滔天の交流を描いたドキュメンタリー。
 
国境を越えた友情と人の思いに
多くの人々が共感を寄せ、革命を為す様が描かれます。
人を動かす強い思いと行動。
これはいつの世でも変わらず、
現在私たちが迎えている日本の状況から見た時、
大きく欠けているものが何かを教えてくれました。
 
装幀では、この二人の熱を表す赤を全面に。
そして尊い友情を金の箔押しで表現しました。
本文は和文と中文の二ヶ国語で編集されています。

※この本は記念として作られたもので、
 一般書店では(おそらく)買えません。
 
 
お陰さまで7月は色々仕上りました。
また、随時ご報告いたします。
 
 
関 宙明
 
 

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活版印刷の読書感想綴り

カキモリ

Creative Direction / Art Direction / Design : 関宙明 Hiroaki Seki



 

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